痛風だけじゃない!怖い「高尿酸血症」予防と治療の最新情報【NHKきょうの健康】

3月18日NHKで放送の「きょうの健康」では、”痛風だけじゃない!怖い「高尿酸血症」予防と治療の最新情報”をご紹介。

高尿酸血症や痛風の治療のスペシャリスト鳥取大学教授 久留一郎さんが対策や予防、治療法について詳しく解説してくれました。

痛風だけじゃない!怖い「高尿酸血症」予防と治療の最新情報【NHKきょうの健康】

治療の基本は、食事や運動など生活習慣の見直し。
リスクが高い場合は、薬による治療もおこないます。

最近では、これまでとは違った効果をもつ、新しい薬が登場しているとのこと。
高尿酸血症や痛風の治療のスペシャリスト鳥取大学教授 久留一郎さんにお話を伺いました。

「高尿酸血症」予防と治療 プリン体について

プリン体の多い食品に注意が必要なのはよく言われていますよね。
との問いかけに、教授は、

プリン体は尿酸のもととなります。ですが、体内の尿酸のうち食品のプリン体由来のものは20%ほどであり、尿酸値をあげる原因はほかにもあるとのこと。
そういったことを知って、対策をするべきだとのこと。

尿酸値を上げる4大原因

プリン体の多い食品以外に、尿酸値を上げる原因は主に4つ。

  • 肥満
  • 激しい運動
  • 甘いもの
  • アルコール

尿酸値を上げる原因 肥満

肥満は、男性に多い内臓脂肪型肥満が特に注意。
へそまわりの腹囲を測り、男性:85cm以上、女性:90cm以上だと内臓脂肪型肥満の目安になります。

これを防ぐには、食生活の改善が大切。カロリーのとりすぎであれば減らすことが重要。

方法としてあげていただいたのは、「体重を3%減らす」ことです。
例:体重80kgの場合、2.4kg減らせば、内臓脂肪が15%ほど減ることになり、結果的に尿酸値が下がるということになります。

ただ、急激な減量は逆効果で、尿酸値が上昇してしまいます。3〜6ヶ月ほどかけて緩やかに3%減量するのが大切。

尿酸値を上げる原因 激しい運動

体内にはATPという物質があり、その中にもプリン体が含まれています。
適度な運動なら大丈夫だが、激しい運動をすると、ATPがどんどん分解され、作るのが追いつかなくなります。
そうすると、プリン体が体内に流れていき尿酸が作られてしまうとのこと。

無酸素運動と呼ばれる、息を止めてきばる、息が上がって会話ができない運動は、激しい運動とみなすそうです。例としては、短距離走やウエイトリフティングなどがあげられます。

おすすめは、有酸素運動。ゆったりと呼吸ができるウォーキングや軽いジョギングなどがおすすめ。軽く汗ばむ程度までに抑えるのが効果的だとされているようです。

尿酸値を上げる原因 甘いもの

甘いものに含まれていることが多い、「果糖」が尿酸値を上げる原因となります。
果糖というのは、果物などに含まれる糖分の一種であり、甘味料として広く使われているもの。

果糖は、肝臓で分解されるのですが、その際に、ATPが使われます。そのため、とりすぎると尿酸値が上がってしまいます。

果糖を70gとると、尿酸値が10%ほど上がるとされていて、
例えば、炭酸飲料500mlに果糖60g含まれているものも多い。

尿酸値が高い人は、果糖が入っているものを摂取するのを控えるべきとのことです。

尿酸値を上げる原因 アルコール

アルコールも肝臓で分解される際に、ATPが使われるので、とりすぎると尿酸値が上がるとされている。

お酒の量は、医者の指示に従うべき。
ですが、生活習慣をしっかりと見直していれば飲んでよいことケースも多い。
1日の適量を守り、週に数日は休肝日をもうけるのがよいとされています。

実践!尿酸値を下げる食事

尿酸値が高い人や痛風を起こしたことがある人は、食品からとるプリン体の量を1日400mg以下にすることがすすめられています。

とくにプリン体が多い食品は、魚の干物や内臓系。さらに、海鮮系はプリン体が多い。

野菜にもプリン体が含まれているが、野菜に含まれているプリン体は尿酸に変わりにくい「グアニン」とのこと。

尿酸値を下げる食事

鳥の卵はプリン体がほぼ0。さらに牛乳も0。牛乳に含まれるタンパク質のカゼインは、尿酸を排泄を促す働きがある。チーズやヨーグルトもおすすめ。

納豆や豆腐には、豊富なタンパク質が含まれる。肉や魚を減らす代わりに、大豆製品を増やすことでタンパク源にすることが大切。

魚を蒸すことで、プリン体を流出させることができる。
ゆでたり、煮るのも同様の効果。ですが、汁は飲んではいけません。

果物は、アルカリ性食品のため、尿をアルカリ性にすると尿酸がかたまりにくくなる効果がある。
果物は極端な量をとらなければ、果糖の量を気にする必要はない。ただし、フルーツジュースは果糖が多めなので、1日1杯程度に抑える必要があります。

肉や魚がどうしても食べたい場合は、ほどほどの量で、ゆでる、蒸す、煮るなどの調理法で食べることをおすすめ。ただし、肉や魚に偏るのは注意。

高尿酸血症の薬による治療

高尿酸血症の薬による治療を考える場合は3パターン。

尿酸値が8mg/dL以上で、肥満、高血圧、糖尿病などの持病があると、腎臓病や心筋梗塞などを発症するリスクが高い場合。

痛風になったことがある場合。

生活習慣の見直しを続けても尿酸値が8mg/dL以下に下がらない場合。

高尿酸血症の薬

尿酸をつくりすぎるタイプや、腸からうまく排泄できないタイプの場合は、
尿酸をつくりすぎないようにする薬。
アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット

尿酸を腎臓からうまく排泄できないタイプは、
腎臓からの排泄をうながす薬。
ベンズブロマロン、プロベネシド

さらに、2020年から新たに始まった、尿酸再吸収阻害薬 ドチヌラドが登場。

尿酸再吸収阻害薬とは?

プリン体は肝臓で分解されてできた尿酸のうち、尿として排泄されるのは、1割程度。
じつは、残り9割が腎臓の尿細管から再吸収され、血液に戻っていく。

この再吸収される尿酸を抑えるのがこの薬の効果。

さらに、この薬は、尿酸値のコントロール目標:6以下の達成率が最も高いとされています。
そして、副作用が少ないのも魅力。

最後に 必ず守らなければいけないこと。

通院や薬を自己判断でやめないこと。
薬は長期間続けるのが基本で、勝手にやめてしまうとまた尿酸値が上がってしまう。
気がついたら腎臓病になっていたというケースもあるとのことです。

高尿酸血症対策の基本は、生活習慣の見直し。
尿酸値をあげない食事や、適度な運動を長く続けることが大切。

尿酸値を低く維持できれば、薬を減らしたり、やめたりすることも可能になります。

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