今回ご紹介するのは、映画「告白」。
日本アカデミー賞の4冠を達成し、また、その映画の内容の過激さから大きな話題を呼び問題作とも称されました。
ホラー映画ではないですが、人間の本当の意味での”怖さ”を感じた作品でした。
洋画が主で、邦画をあまり観ない方でも楽しめる作品になっていましたので、ご紹介できればとおもいます!
目次
「告白」2010年
点数:4.0/5.0点満点中
私は、あまり邦画を観ていません。なぜなら、話題になっている邦画は、大体が恋愛、コメディ、漫画の実写化などが最近多いからです。
重くシリアスな映画があまりなく、どちらかというと、軽くポップな映画の方が多いですよね。なので、面白そう!と感じるような邦画が見つからないんですよね。
実際、そういった映画の方が、邦画には合っているのかもしれませんが。
そういった中で、この作品は、一線を画すようなものになっています。
今まで観た邦画のイメージを変える、衝撃を受けた作品となりました。
映画「告白」のあらすじは?
舞台はある中学校。
中学1年のクラスの担任を受け持つ教師・森口悠子が終業式のホームルームで淡々と語りだす。
クラスには、牛乳が配られていた。クラスの大半は、教師の話は聞かず、配られた牛乳を飲みながら、周りと私語を続けていた。
森口がいうには、自身はシングルマザーであり、一人の娘がいた。だがその娘はプールに落ち亡くなってしまった。
警察は事故死と判断したが、このクラスの人間2人に殺された、他殺である。と語る。
夫は、HIV感染者で、そのことで娘が迫害を受けることを案じ、結婚に至らなかったという。
森口は、その夫の血を、犯人の2人の先ほど配られた牛乳の中に混ぜたというのだ。
どよめく教室。その告白を最後に森口は学校を去った。
そして、始業式。次の学年が始まる。
2人の犯人は、対極の生活を過ごしていた…。
映画「告白」の原作は?
原作は、小説家・湊かなえが書いた同名の小説になります。
ミステリー好きに高い評価を受け、累計売上の方も200万部を超えベストセラーとなっています。
映画「告白」の監督は?
監督は、中島哲也監督です。
映画をはじめ、CMやミュージックビデオなども手掛けている監督です。
代表作は、「下妻物語」「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」「渇き。」など有名作品を多く世に出しています。
また、この「告白」で、日本アカデミー賞最優秀監督賞と最優秀脚本賞を受賞しています。
映画「告白」のキャストは?
森口 悠子 松たか子
寺田 良輝 岡田将生
下村 優子 木村佳乃
森口 愛美 芦田愛菜
下村 直樹 藤原薫
渡辺 修哉 西井幸人
北原 美月 橋本愛
キャストはとても豪華な顔ぶれです。
主演の松たか子さんは、明るく天真爛漫な印象の女優さんですが、今回の「告白」では、そういった表情は一切なくし、淡々と復讐を進める機械のような冷酷さを見事に演じ切っています。
それぞれがそれぞれの”狂気じみた”役柄を見事にこなし、作品自体の狂気さを存分に引き立ててくれています。
映画「告白」の面白いポイントは?
教師・森口の復讐劇が壮絶
この映画「告白」の物語の軸になる部分です。
娘をプールに落とし殺した2人の犯人を地の底まで追い詰めるため復讐を始めます。
まず、HIV感染者の血を牛乳に混ぜるという復讐。ただ殺し返すというのではなく、じわじわと精神的に追い詰めていく様子がとてもすさまじく衝撃的です。
2人の犯人が追い詰められていく様子はとてもリアルで、観ている方の中には、少し気分に影響を及ぼすかもしれません。
ちなみにそういった部分が影響してか、R15指定とされています。
全体的に彩度を落とした、影のある映像になっている
この映画は、全体的に彩度を落とした映像になっています。
白黒に近いような青みがかった映像になっており、物語の内容がとても暗くシリアスなものになっているので、その2つが相まって、とても感情が揺さぶられるような作品に仕上がっています。
映画「告白」ラストのセリフ「なーんてね。」の真意は?
森口は、ラストシーン、犯人にこう語りかけます。
「これが私の復讐です。本当の地獄。ここからあなたの更生の第一歩が始まるんです。」
そして、暗転し、こうつぶやきます。
「なーんてね。」
この真意はどういったことなのでしょうか?
原作の小説にはない内容だそうで、この映画でのオリジナルの締め方になっているようです。
主に、2つの意見で分かれていますね。
- 更生に対しての否定
- 犯人の母親が建物ごと爆破されたことに対しての否定
更生に対しての否定の詳細としては、
犯人が最愛の母親を自身の手で爆破してしまったことへ悲しみに暮れている状況に、「更生」という言葉で救いを差し伸べた形になり、それを否定することで、さらに犯人を追い詰めてやろうという内容です。
逆に、後者の爆破に対しての否定の詳細としては、
森口と犯人の携帯電話での会話、主に母親のいる建物を自身の手によって爆破されたことを知らせる内容に対して否定をすることで、
実際は母親はまだ生きていて、一線は超えない形で、犯人に命の大切さや愛するものを失う悲しみをわからせようという内容になります。
私は、実際に爆破はされたのではないかと思います。
これは、教師・森口の「復讐劇」であり、犯人たちに更生を促すための物語ではないと考えるからです。
その中で気になったのは、犯人の牛乳の中に実際にはHIV感染した夫の血が混ぜられていなかった、嘘であったこと。
ですが、それは夫に無理やり阻止され果たせなかっただけで、森口自身は実行に移していたのではないかと思います。
また、更生が目的であるならば、もう一人の犯人である少年の結末につじつまが合いません。
HIV感染してしまったと思いこみ、精神的に追い詰められた母親は心中を決意し、息子を手にかけようとしますが、結果的に息子に返り討ちに合い殺害されてしまいます。
共犯者の少年をそれだけ追い詰めるまでの計画を実行しているので、
何人も殺害を犯している、より罪の重い主犯格に対し、「実は大切なものは失っておらずそのまま」という生ぬるい制裁は下さないのではないかと思います。
おわりに
今回ご紹介したのは映画「告白」でした。
普段、コメディなどのライトな作風をよく観られる方には荷が重い作品になるかもしれませんが、
暗めのどんよりとした作品が好きな方には、とてもマッチする、そういう意味での良い作品に仕上がっているのではないでしょうか。
ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか?