今回ご紹介するのは、映画「ブルーバレンタイン」。
ジャンルは恋愛映画ですが、普通の恋愛映画と違って、恋愛がうまくいっていない”冷めた”状況をリアルに映し出しているおすすめの映画です。
普通の恋愛映画は面白くない。という方でも楽しめる映画になっていますので、ご紹介できればと思います。
目次
「ブルーバレンタイン」(原題: Blue Valentine)2010年
点数:4.2/5.0点満点中
ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズが主演の恋愛映画です。
他の恋愛映画にはあまりない、恋愛の難しさ、切なさなどがリアルに描かれていてとても面白い映画だなと感じました。
なので、点数は4点越えの高めの点数になっています。
どこが面白く感じたかの詳細は後ほど。
「ブルーバレンタイン」あらすじは?
夫婦のディーンとシンディは、娘のボビーと3人家族。
夫のディーンは、娘のボビーを心から愛しながらも、まともな定職についているとはいえず、昼間からお酒を飲みながら、ペンキ塗りをしている日々。
妻のシンディは、看護師として忙しく働いている分、夫のふらふらとその日暮らしをしている様子に苛立ちを募らせていく。
夫に対し、「何かやりたいことはないの?」と日々問いかけますが、夫からは覇気のない返事。幼い娘と同年代のように遊ぶ夫に愛想をつかしている。
ぎりぎりのところで保ちつつも、夫婦の溝は深まっていくばかり。
だが、出会ったころの2人は、どんな逆境も2人でなら乗り越えられると信じられるほどにお互いを愛し合っていた…。
「ブルーバレンタイン」のキャストは?
ディーン・ペレイラ ライアン・ゴズリング
シンディ・ヘラー ミシェル・ウィリアムズ
フランキー フェイス・ワディッカ
ボビー・オンタリオ マイク・ヴォーゲル
ライアン・ゴズリングといえば、「ラ・ラ・ランド」に出演し、ゴールデングローブ賞 映画部門 主演男優賞を受賞しています。
日本でもそこから一気に知名度の上がったイケメン俳優ですね。女子から絶大な人気を得ています。
この映画で、ゴールデングローブ賞をノミネートされています。
ミシェル・ウィリアムズといえば、「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、この映画では、アカデミー主演女優賞にノミネートされています。
「ブルーバレンタイン」の監督は?
監督は、デレク・シアンフランスという映画監督です。
この映画では、脚本にも携わっています。
日本では、ほとんど知られていない映画監督ではないでしょうか。
この映画の他に、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 」や「光をくれた人」といった映画を制作しています。
「ブルーバレンタイン」の面白いポイントは?【ネタバレ注意】
恋愛が成就するまでだけでなく、そこからの物語も描いている
普通の恋愛映画だと、主人公の男女が結ばれるまでの話だったり、結ばれて幸せな様子を主に描くことが多く、ハッピーで明るい内容になることが多いため、ポップな作風になりがちです。
ですが、この映画では、先に夫婦の冷めきった様子を描くという普通の恋愛映画とは違ったものになっています。
夫婦の冷めきった様子がリアルに描かれている
そして、その冷めきった様子が、とてもリアルに描かれています。
別れかけの恋人同士や夫婦のような、些細なことでも呆れや苛立ちが募り、思わず相手にぶつけてしまうという部分など、言動がリアルな夫婦像が映し出されます。
自分のことを観ているように感じる方もいらっしゃるかもしれません。
冷めきった様子だけでなく、恋愛が”成就”するまでの回想を描いている
冷めきった夫婦を描いていますが、この映画の一番面白いポイントは、その夫婦の出会った当初、つまり”成就”までのストーリーも描かれていることです。
こんなに冷めきっていた2人でも、出会った当初は、結ばれるために猛アプローチをし、困難な壁も立ちはだかりながらもお互いを心から愛し合っていました。
実体験として、「あの頃はあんなに仲良かったのにな」とふと感じるようなこともあると思います。
この映画は、出会った当初の場面まで見せることでよりリアルさが引き立っています。
恋愛の”成就”と”破局”を描く構成が面白い
この映画は、夫婦の恋愛の”成就”と”破局”を描いています。
ですが、ただ描くのではなく、その対極に位置する2つを本編の中に、交互に映し出されるように構成されているのです。
冒頭は、夫婦が冷めているシーンから始まり、その途中から、2人の出会うまでのストーリーへと場面が切り替わります。そしてまた現在へ切り替わる…。
両極の2つの場面は、”成就”と”破局”、つまり”結婚”と”離婚”というそれぞれのゴールに向かって進んでいきます。
その様子が交互に描かれていて、そして最後。
ラストシーンで、それぞれのゴールがぶつかるという構成に、衝撃を受け、心に何かグサッと刺さったような気持ちでした。
残酷な構成であるからこそ、この映画はとても面白いのだと感じました。
夫婦の両極の目線に立って観たときの違い
夫婦どちら側に共感するかによって、この映画は全く違った顔を見せてきます。
妻側の目線に立つと、自身は忙しく働いているのに、夫はほとんど仕事をせず、昼間からお酒を飲み、娘には行儀の悪い食べ方を真似させたり…と、愛想を尽かして離れたくなってしまう気持ちがとても共感できます。
多くの方は、そのように感じ、夫のディーンに嫌悪感を抱くのではないかと思います。
クズなダメ亭主といった感じですが、夫側に試しに立ってみると、全く違った面が見られます。
まず家族を心から愛しています。妻とはすれ違っていますが、愛していますし、娘のことも大好きで、一緒に遊んでいる姿は見かたによっては、良いパパと見るかたもいるでしょう。
そした、その娘は、元カレとの間にできてしまった血のつながっていない娘。
中絶寸前で、やっぱり産みたいと心変わりし涙する彼女のことを、何も責めることなく抱きしめていました。
そして、生まれてきた娘のことを、血のつながり関係なく心から愛すことができているのは、なかなかできないことでしょう。
しかもその元カレには、彼女を取られた腹いせに、仲間を引き連れて襲撃を受け、ボコボコにされています。
そんな、夫婦の両方の立場に立つことで、2種類の楽しみ方がある映画かなと思いました。
おわりに
今回ご紹介したのは、「ブルーバレンタイン」でした。
「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリング主演ということで、ライアン・ゴズリングファンは必見の映画です。
また、夫婦の始まりから終わりまでをとてもリアルに描いているので、失恋した時などには、観るとより心に刺さるものがあるのではないでしょうか。
とても切ない映画になっているので、そういった映画が好みの方にはドハマりする映画化と思います。
ぜひご覧ください。